銀行員が必至で金融商品をセールスする理由

今や銀行の窓口で手続きに行っただけでも金融商品を勧められる時代になりました。前回は、銀行員に金融商品を勧められたら確認すべきことを説明しましたが、今回はその背景となる金融商品のセールスに携わる銀行員の労働環境について説明します。

年々激しくなる販売目標

全ての銀行とは言いませんが多くの銀行では、営業支店で個人単位の金融商品の販売目標(ノルマ)が設定され、それを達成するために、本来の銀行業務をこなしながら職員がセールスをするというのが当たり前の姿となっています。1997年に投資信託、2001年に保険商品の販売が銀行で解禁され、約20年が経ちましたが、マイナス金利や人口減少によって銀行の置かれている環境は年々厳しくなってきています。貸出や運用益で稼げない以上、銀行において金融商品セールスによる手数料収入増加への期待は年々激しいものになっています。そのため、営業の現場では、窓口には出ていない後ろの方で事務を担当している銀行員であっても通常は金融商品の販売目標が課されます。日常的に対応する顧客だけでは到底達成することのできない目標額であることが多く、窓口が閉まった後に、見込みのありそうな顧客や通帳に一定の残高がある人へ電話してなんとかセールスのアポを取り付け訪問したりします。

顧客の利益を優先できる環境?

当たり前のことですが、目標額に届かない銀行員は、営業支店でお荷物として扱われ、露骨に嫌味を言われ、上役からの叱責を絶えず受け続けることになります。もちろん本人の査定やボーナスにも大きく響きます。そのため、銀行員は必死です。仮に本当に顧客を考えたセールスを行うのであれば、顧客の許容できるリスクを考えた上で金融商品を提案すべきですが、そのような事を考える銀行員はどれほどいるでしょうか。銀行員からすれば、手数料の高い金融商品をとにかくたくさん買ってもらわなければならないのですから。(全ての銀行がこのようなセールスを行っているということではありません。)

 

信頼とは何か

これらのことは営業職であれば当たり前のことかもしれません。しかし、なぜ多くの人は銀行にお金を預けているのでしょうか。それは社会的に銀行が信頼される企業だからではないでしょうか。私たちは知らず知らずのうちに銀行を信用しています。多くの人から信用される銀行(銀行員)が顧客の利益を優先しないセールスを行うことには大きな問題があります。

銀行員は人から(特に高齢世代から)信頼を得やすい立場にあります。そして、彼らは口座内の全てのお金の動きを見ることができます。顧客からすれば「銀行員が言っているなら間違いないだろう。」ということで、多少危ない橋を渡るような銀行員もそれなりに出てくるのです。

 

 

就職ランキングで銀行業が大きく順位を落とし、銀行の行く末や銀行員の転職をテーマにした本が売れ、若手銀行員の離職が問題となっている背景にはこのような労働環境があります。もちろん、銀行員の業務は金融商品のセールスがすべてではありません。本当に顧客の事を考えた提案ができているのか、地域のためになるようなことができているのか、と若い銀行員は悩みます。

 

残念ながらこのように一部の銀行では、今まで築いた信頼を切り売りしているようにしか見えない状況にあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です